生野銀山をどう未来につなぐか――残す責任と将来負担
朝来市創生の会は、2026年7月号の活動報告「ACTIVITY REPORT Vol.21」を発行し、市内に新聞折り込みでお届けしました。
今回の特集は、6月定例会で賛成多数により可決された議案第46号「朝来市史跡生野銀山条例」です。
三菱マテリアルの観光事業撤退と民間事業者への譲渡協議の不成立を受け、朝来市は、生野銀山を守る最後の受け皿として、施設・設備を譲り受け、観光事業を継承する道を選びました。
一方で、市が引き継ぐことにより、施設の修繕、安全管理、財源確保など、将来にわたる責任と負担も生じます。市の資料では、建物を大規模改修した場合、約3億2,000万円が必要になると試算されており、観光坑道内の設備については、将来の修繕費がまだ試算されていないものもあります。
本会議では、2人が反対討論、5人が賛成討論を行いました。
討論で共通していたのは、生野銀山が単なる観光施設ではなく、朝来市の歴史、地域の記憶、日本の近代化を伝える、かけがえのない資産であるという認識です。
議論の中心は、「生野銀山を残すか、残さないか」ではありませんでした。
問われたのは、
生野銀山を誰が、どのような責任と負担のもとで、持続可能な形で残していくのか
という問題です。
朝来市創生の会でも判断が分かれました。
森下議員、松井議員は、将来負担や管理体制、意思決定過程が十分に明らかになっていない段階で市が引き継ぐべきではないとして反対しました。
藤原議員は、残された課題は可決後も厳しく検証すべきであるものの、民間承継が不調となった後の最後の受け皿として、事業の断絶を避け、公的承継の道を開く必要があるとして賛成しました。
3人とも、生野銀山の価値を守り、次世代へ継承する必要性については認識を共有しています。会派内で賛否が分かれたのは、重要な議案について異なる懸念や価値を比較し、それぞれが責任を持って判断した結果です。
活動報告では、
- 生野銀山の何を、どのような形で残すべきか
- 一時的な閉鎖のリスクと将来の市民負担のどちらを重く考えるか
- 市はどこまで財政負担を引き受けるべきか
- 市民が判断するために、どのような情報が示されるべきか
- 観光、歴史文化、教育、地域経済をどう結び付けていくか
を、市民の皆さんへの問いとして掲載しています。
条例は可決され、生野銀山を残す道は開かれました。しかし、持続可能な運営への課題はこれからです。
今後、指定管理者の選定、管理運営方針、安全管理体制、中長期修繕計画、財源確保などが具体化されます。
私たち朝来市創生の会は、賛否それぞれの立場から示された課題を共有し、市民の皆さんの声を伺いながら、生野銀山が持続可能な形で継承されるよう、引き続き検証してまいります。
活動報告Vol.21はこちらからご覧いただけます。
