令和4年11月26日、芸術文化専門職大学にて、神戸女学院内田樹名誉教授による講演会に参加した。テーマは「人口減少社会のシナリオと地方からの文化発信」である。
内田教授によると、今から78年後即ち2100年の日本の人口は最大でも6,700万人、最少で3,500万人という推計があるとのことで、人口減少により益々東京一極集中が進み、地方は野生が繁殖し、あらゆる生活環境が失われると話された。
朝来市に置き換えて考えれば、人口が半分になると企業活動も商業も行政サービスも成り立たなくなり、従って市民生活が出来なくなることは容易に想像できる。78年後は遥か彼方であるが人口減少は日々進行している。あいも変わらず「幸せが循環するまち」などとお題目を唱えている場合ではない。すでに循環しなくなっている現実を直視しなくてはならない。総合計画の根本にある「ウエルビーイング」は人口減少への取り組みを放棄し、市民一人一人で幸せを追求しなさいと言っているように私には聞こえる。
内田教授の講演の締めくくりは、東京一極集中をなんとしてもくい止めなければならない。その為には地方からの発信が重要だということであった。
我々は今一度人口減少問題に正面から取り組み、課題解決に向け内外に発信する必要がある。その一歩として、東京直下地震が30年以内に発生する確率は70%と言われて久しいが明日かも知れない。我々が今発信すべきは子供や孫を東京に出さない、既に東京に出ているのであれば但馬へ帰って来いと薦めることではないだろうか。農村回帰宣言を行っている大分県竹田市のキャッチフレーズは立松和平氏の「農村へ帰れといいし友ありて」であったことを思い出した。地方の衰退は地方自らが招いたことを思い起こす必要があると強く思う次第である。
森下恒夫