第9回(令和5年3月)定例会は、令和5年度一般会計予算をはじめ28件の議案、その他同意案件等を審議し、本日閉会しました。
令和5年度一般会計予算は、県からの受託事務の整理など事務事業の見直し等により、総額は少し減少しているものの、今、朝来市が必要とする施策が意欲的に盛り込まれており、肯定的に受止めています。施政方針で示されている「ライフステージに応じた切れ目のない支援」についても、各事業に体系的、合理的で相応な位置付けがされ、社会変化の実状を踏まえた重層的な支援が分かりやすく整理されており、評価できます。若干、若年層向けの施策が少ないことは、今後の検討課題です。
さて、この度の定例会の予算審議では、生野庁舎等整備事業(令和4年度一般会計補正予算)、及び全天候型運動施設整備事業(令和5年度一般会計当初予算)について、それぞれの事業予算の執行停止を求める附帯決議案が可決されました。
可決により議会の団体意思が表明されたことになる訳ですが、形式上前者は賛成多数、後者は全会一致ではあるものの、議会の議決が可否の二択であり条件を付けることができないことから、実質の思惑は様々です。
本来、予算審議においては、単年度予算にとどまらない行財政運営全体の整合性判断こそが重要であり、特定の個別事業により、持続的な行財政運営全体にとって矛盾や齟齬が生じるようなら、議会としても積極的に是正する必要がありますが、そうでなければ当該個別事業の是非に拘泥するべきではないと考えます。
附帯決議は法的な効力こそありませんが、予算執行の停止を求めるとなると、執行機関の権限や市民の利益に対する事実上の影響は小さくありません。
市民の付託に応える姿勢としては、ひとえに「市民(全体)にとって有益か否か」の見地からの「熟慮の末」でなければなりませんが、今回の決議はとてもその領域にはなく、議会はその判断の結果について責任を負わなければなりません。