行政視察報告8

調査視察日:令和7年1月16日~17日

本市の政策の立案に参考とすべき先進事例を学ぶため、各分野で先進的取組をされている自治体を視察し、政策についての聞取りと意見交換を行いました。

1.「電子町内会の取組み」について
岡山県岡山市
市民協働局市民協働企画総務課

概要(まとめ)

 岡山市では、地域コミュニティの活性化と市民の情報化推進を目的に、「電子町内会」という独自の仕組みを導入しています。電子町内会はインターネットを活用し、町内会活動や地域情報の広報を行うためのシステムで、地域住民の参加型コミュニティネットワークを構築することを目指しています。

 「電子町内会」では、以下の機能を提供しています。

町内会ホームページの作成支援:各町内会のウェブサイト作成をサポートし、情報発信を効率化。
○会員専用のメール配信システム:町内会員へ迅速かつ簡便に情報を共有。
○外部SNSとの連携:FacebookやGoogleカレンダーなどを利用した地域情報の共有。

 この取組みは、住民主体のまちづくりをICTの活用によって支援するもので、市民の利便性向上と行政サービスの効率化を目指しています。また、電子町内会の導入後、多くの町内会で地域活動の拡大や歴史保存への寄与といった成果が見られています。

 今後の展望として、取組みの更なる認知度向上や関与する人材の育成、デジタル化の普及に向けた取り組みを進め、次世代へ継承可能なコミュニティ構築を目指しています。

各会員所感

(森下 恒夫)
 インターネットを活用して,町内活動をはじめとして地域の情報の発信,又,町内会の会員同士で身近な出来事の情報を共有し合うなど,地域のコミュニティの盛り上げを進める活動を行っている。市の役割はセキュリティ対策,サーバーシステムの提供の他,ヘルプデスク,システム講習等を支援している。現在1,714の町内会で96地区(小学校校区)を対象に進められていて、加入率は77、6%である。地域の活性化につながる情報や回覧情報の掲載、防災情報の掲載,スケジュール管理等が発信されており好評の様である。

 町内会の会長を中心として,公開サイト,会員サイト,メールと分担して管理者が置かれそれらを補助する運営委員が数名おかれています。

 平成12年に7つのモデル地区でスタートし現在に至っているが未加入地区が30%強あり、全区加入を目指して様々な取り組みがなされている様である。大変良い取り組みと思うが,高齢化が進んだ我が市では難しいかなというのが,率直な感想である。

(嵯峨山 博)
 電子町内会とは、インターネットを活用して、町内会活動をはじめとして地域情報の発信や町内会会員同士での身近な出来事の情報を共有しあうなど、地域コミュニティの盛り上げを進めることを目的としている。この取組みは平成14年から行われており、問題点や会員からの要望、時代を背景にシステムのリニューアルが行われている。

 このシステムに全ての町内会が加盟しているわけではない。それが一つの課題として捉えられている。本市では自治協議会を設立し活動が行われているが、自治協議会によって活動の温度差を感じていた。さらに、人口減少が進む中での各行政区の活動にも限界がきている行政区もある。その課題を解決する一つとして、この電子町内会のようなシステムを取り入れ、各地域の活動へボランティアスタッフとして参加することができる。又、そのことは若い方々の出会いの場になると考える。

 そして、各地域の災害情報についても共有ができ、避難所運営についても有効な手段である。又、消防活動についてもシステムを取り入れ、出動確認や出動人数の把握等ができる。

 こうしたシステムは、我々のような地域であるからこそ取り入れなければならないと感じた。

 そして、岡山市が行っているシステムの運営費は約620万円ほどであった。岡山市が行っているシステムを改良し、朝来市版で運用することは可能であると考える。

 コミュニティの構築には有効な取り組みであった。

(藤原 正伸)
 岡山市が進める「電子町内会」事業は、ICTを活用して地域コミュニティの活性化と市民の利便性向上を図る画期的な取組みであり、その詳細を直接伺えたことは大変有意義だった。

 説明の中で特に印象に残ったのは、電子町内会が単なる情報発信ツールにとどまらず、地域住民が互いに情報を共有し合う場として機能している点である。町内会ホームページの作成支援やメール配信機能の提供は、日々の生活に密着した便利なサービスであり、住民間の交流促進や防災情報の共有など、多岐にわたるメリットがあることを実感した。また、これらの取組みが住民主体のコミュニティ形成を目指している点にも感銘を受けた。

 質疑応答で、事業運営における課題や展望についても具体的なお話を伺うことができた。例えば、町内会役員の高齢化やデジタル格差といった課題について、市では定期的な講習会やヘルプデスクの設置を通じて支援を行っているとのことだった。こうした取組みは、電子町内会を地域全体で活用するための重要な基盤であり、課題解決への積極的な姿勢が伺えた。

 本事業の背景には、「情報化社会への適応」という広範な視点が存在していることを再確認した。また、電子町内会を通じて得られる行政の効率化や地域の情報化という効果は、将来の持続可能な地域づくりにも大いに寄与するものと感じた。

 今回得た知見を基に、本市でもICTを活用した取組みを検討し、より良いコミュニティ形成を目指したいと考える。

(松井 道信)
 岡山市は幾度となく断られ続けた念願の視察地であり、視察目的の「電子町内会」は結構ハードルの高い事業だろうと勝手に決めこんでいた。ICTを活用して町内活動や地域の情報発信町内会会員同士の連絡など地域コミュニティの活性化を進めることを目的としており、現在の電子町内会は、1.地域の活性化につながる情報、2.回覧情報の掲載、3.防災情報の掲載、4.スケジュール管理に使われている。またシステムの稼働は平成14年からスタートしており、10年以上経過した平成28年にはシステムのリニューアルも実施され、より使いやすく充実した内容となっている。このことにより相当の利便性向上を想像するが、市内の町内会の現在の稼働実績は約4分の3程度であり100%の稼働には至っていない。現在においても紙ベースの広報紙や連絡も併用されているとの事であった。

 岡山市の様に大きな市の電子町内会システムは、大きな投資が必要と勝手に思い込んでいたが、話を聞いてみるとサーバー自体をレンタルしているだけでなく、システムの管理まで外部事業者に委託しても、市が払っているシステム運営費は年間600万円強であり、本市において導入しても決して無理な仕組みではない。デジタル化時代を踏まえ、今後の本市においても十分に検討の期待できる好事例であった。


2.「空き家活用の取組み」について
岡山県瀬戸内市
総合政策部企画振興課

概要(まとめ)

 瀬戸内市では、空き家問題に対処し、地域の活性化を図るため、移住促進を軸にした多角的な空き家活用施策を実施しています。この取り組みは、空き家の所有者やその親族、移住希望者、介護施設、行政機関など、多様な関係者の協力を通じて進められています。

 具体的には、以下の施策が実施されています。

① 啓蒙活動
 空き家の有効活用を促進するため、市内の全世帯や行政機関、介護施設などに啓蒙パンフレットを配布。特に年末年始には広報誌への折り込みを活用し、所有者のみならず親族にも訴求しています。

② 空き家バンクの推進
 空き家情報を一元化し、移住希望者とのマッチングを支援する空き家バンクの登録促進を行っています。空き家バンクは行政主体で運営されていますが、近時、司法書士や不動産業者などと連携し、情報収集を拡大しています。

③ 活用事例の紹介
 実際の空き家活用事例を集め、課題や解決策を明確にした事例集を作成。これにより、空き家活用の具体的なイメージを提供し、地域住民や所有者への啓発を図っています。

④ 専門知識の普及
 空き家の所有者や利用者をサポートするため、法律、登記、相続などに関する専門的な研修を開催。空き家活用のプロセスで発生する問題を未然に防ぐ仕組みづくりを目指しています。

⑤ 地域密着型のサポート
 空き家活用を円滑に進めるため、地域住民や移住者が協働で清掃や軽度の修繕を行う支援体制も整備しています。

 このような施策により、瀬戸内市は空き家問題の解決だけでなく、移住者の増加や地域の活性化にも寄与することを目指しています。

各会員所感

(森下 恒夫)
 瀬戸内市の人口は2020年国勢調査では36,048人と2,000年と比較すると3,000人程減少しているものの、その後は微減に止まっている。消滅可能性自治体からも脱却している。これは令和3年以降社会増減がプラスに転じ,現在では1,990にまで増加している。近年移住希望者が増加し,その数は県内では倉敷市に次いで第2位の43人となっている。特に定年退職後の移住を希望される方が多い様である。

 風光明媚で温暖な瀬戸内市が選ばれるのは理解できる。空き家対策については,朝来市とさほど変わらない対策が行われているが,上で述べたが移住希望者対して空き家バンクへの登録が足りていない状況で登録を促す努力が進められている。現在,空き家バンク利用登録者1,498人に対してバンク登録者は248件と大きな差がある。空き家の総数は2,840戸で空き家率は、17、5%とのことである。

 瀬戸内市は岡山市の衛星都市で中心市街地が形成されていない。広い土地があるので、都市計画を進めて企業誘致、ショッピングセンター誘致等で都市機能を充実すれば既存の観光と合わせて更に発展する可能性を秘めている市であると感じた。

(嵯峨山 博)
 移住促進、空き家対策等に力を入れている本市との施策に大きな違いはない。しかし、本市との違いは、人口減少はしているものの社会動体は令和4年が315人、令和5年は326人の社会増となっている。このことから転入者が多いことがわかる。その理由として、岡山市への通勤が可能であること、又、現役引退世代が海に魅力を感じ移住していることがある。これは本市と条件に違いがある。しかし、大きな理由は、地域で住んでいる方々が協力し、空き家や農地の情報提供、生活習慣や地域資源などの情報提供、移住者へのアドバイスなどを行っていることである。このような活動を行っている団体に「瀬戸内IJUコンシェルジュ』として委嘱している。

 コンシェルジュは地域の人口や活力を維持するための、地域コミュニティ活動の一環として、移住者を円滑に受け入れるための空き家の確保と利用に係る環境整備を行っている。空き家バンクもコンシェルジュが担っている。

 現在本市が行っている事業を瀬戸内市の取組みを参考に、ブラッシュアップすることにより、成果が変わってくるのではないかと考える。当局と意見交換しながら、より良い制度にしなければならないと改めて考えさせられる視察となった。

(藤原 正伸)
 瀬戸内市の「移住促進・地域活性化のための空き家活用」事業は、空き家を地域資源として有効活用し、移住者の受け入れ促進と地域の活性化を目指すものであり、具体的な事例や成果を直接伺うことで多くの学びを得た。

 先ず、空き家バンクの運営や活用事例集の制作、さらにパンフレットを活用した啓蒙活動など、多角的なアプローチが行われている点が印象的だった。特に、所有者やその親族、地域の関係者を巻き込む形で空き家の活用を進めている点に感銘を受けた。これにより、単なる住宅提供にとどまらず、地域コミュニティの再構築という側面が重視されていることが感じられた。

 次に、空き家情報の収集方法や活用に向けた課題について意見交換したが、たとえば、空き家所有者が抱える心理的な障壁や相続問題といった課題について、瀬戸内市が専門家による研修を実施し、解決のための知識向上に努めていることを知り、地域に密着した取組みの重要性を再認識した。また、行政だけでなく、多様な関係者が連携する体制が空き家活用を成功させる鍵であることも理解できた。

 瀬戸内市の取組みは、人口減少や空き家問題に悩む全国の自治体にとって参考となる優れたモデルであると感じた。同時に、空き家の有効活用を通じて地域が抱える課題に立ち向かい、移住者や住民が安心して暮らせる環境を創出している姿勢に深く共感した。

 今回得た知見を基に、本市でも空き家の活用を軸とした移住促進や地域活性化策を検討していきたい。

(松井 道信)
 晴れの国岡山に位置する瀬戸内市。「移住促進、地域活性化の面から」とした空き家活用施策は成果を上げており、現在では空き家が足らない状況にある。

 本市と大きな相違点は、瀬戸内市には中心市街地が無いことに加え、市全体に都市計画地域が全く無いことが挙げられる。また瀬戸内市の空き家でニーズの高いのが、農地付き空き家住宅であることにも驚いた。

 本市と瀬戸内市の空き家対策事業を比較した場合、補助金等の施策自体には近似性を認めるが、環境や条件は大きく異なっており、そこから生まれる成果に大きな隔たりがあるように感じた。

 本市の空き家事業は行政が主体で、所有者も行政任せとなっており、まして地域住民の介在する余地はないが、瀬戸内市では民間人がボランティアで介在している。IJUコンシェルジュ制度と言われるもので、地域情報の提供や空き家情報の整理・提供など移住を検討する方を支援する団体が作られている。こうした移住に対する積極的な地域住民活動は本市に欠けている視点であり、移住者の受入れを円滑に進めようとするこうした活動は、今後の検討課題の一つと感じた。